今日は昔話をします。
大学の頃、女装にハマっていた。
研究室に行くといつも二つ上の女の先輩が丁寧に化粧をしてくれて、周りの同輩や教授、みんなが「◯◯はかわいいね」「目がぱっちりしてて本物の女の子みたい」と言ってくれる。
完全に有頂天だった。
マジで調子に乗っていた。
今でいう”姫”みたいな気分になっていた。
男のくせに。
あまつさえその女装姿で学内を闊歩していた。
うわ〜キツい
ある日の夕方、僕が女装(メイド服)して食堂に行くとTCGやってるオタクたちがこちらを見ながら何やらニヤニヤしていることがあった。
思わず僕はスカートの前をめくって「女の子だと思った??男でしたー!」ってバラす妄想をしていた。
どう見ても変態です本当にありがとうございました。
ニヤニヤしてたのは完全にバカにするニュアンスだったんだと思うけど、そんなことにも気づけないくらい自分に酔っていたんだと思う。死にたい
でもね、そういうしんどい季節を知り、乗り越えてこそ今この瞬間、極上のスマイルができるんだと思うんです。
WUGもそう歌ってるでしょ。
違います?いいえ違いませんその通りです。
話がそれてしまった。
そんな、まるで天下を取ったような気分で日々を送っていた僕。
そんな自意識を拗らせた勘違いオタク野郎に無情なる鉄槌が振り降ろされる。
両親兄弟全員が旅行に行くので家を数日空けるというのだ。
ははぁ、これはチャンスと思った僕。
そう、何を隠そう僕は当時家でメイド服を着て、お茶を入れたり家事をするのが細やかな夢だった。
えー、何を言ってるか分からないと思うんですけど、今文章を書いてる僕にも全然分かりません。
本当にシ◯ブでもやってたとしか思えない。
逆に言えば、自分の人生史上1番自分に自信があった頃だったのかも。
若いね〜〜
若さとは暴力ですね。
当日の朝、両親兄弟を見送った僕は、さっそうとメイド服に袖を通した。
正直めちゃくちゃ興奮した。
一抹の非日常感に軽くキョドリながら、僕は鏡に自らの肢体を映す。瞬間、驚愕した。
そこにはメイド服を着た19歳の男性が立っていた。その頃髪を伸ばしていたので、後ろ姿はかろうじて女の子に見えなくもないが、何しろ体型がアウトだった。
肩なんて無駄にある肩幅のせいでパツンパツンだった。あと腰回りがえげつない太さだった。
そして何より、化粧をしていない自分の顔は年相応の男性だった。当たり前だ。
正直、それまで僕は自分がかわいい男の子だと思っていた。
でもそれは周囲の善意によって齎された幻想だったのだ。
僕はその日自らの手で幻に終止符を打ってしまったのである。
僕はショックのあまり、朝食べたミネストローネを吐いた。
吐きながらもう女装なんかしねー!と誓った。あともっと痩せようと思った。
だがその半年後、学祭で再びメイド服を着ることになるのはまた別の話。
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しかし化粧ってすげーな〜
女の子が時間をかけるのもよく分かります。
おしまい