20181213
最近の自分の精神状態に
1番フィットした音楽を紹介したい。
blurの「13」という作品である。
99年の作品。
あらかじめ最初に断っておくが
僕はblurというバンドの事を正直よく知らない
多くの人はきっとOASISと同じタイミングで
このバンドを知って聴き始めるんだと思う。
僕の周りの人たちがそうだったので多分そう。
ところが僕はブリットポップというジャンルを
長い間好きではなかったので、つい最近まで
ずーーっとスルーし続けてきた。
最近ようやく許した。何を「許した」のかは
また今度改めて。
…と、まぁその関係で今になって色々と
聴き返しているというわけ。
完全に時間が逆行している。わはは
✴︎
多分このアルバムが出た時はみんな「??」
という印象だったんじゃないか。
僕はこのバンドはイギリス人の国民性を
まんま体現したようなバンドだと思っている。
曲も歌も歌詞もひねくれているからだ。
でもこの作品はそれにしてもひねくれすぎ。
理解されることを拒絶しているレベル。
一応シングルカットされた数曲はそこそこ
ポップで聴きやすいんだけど、それが逆に
浮いている。
ジャケットも…なにこれ?油絵?
間違いなくジャケ買いはしないだろうな。
おまけに1曲目から7分半。
リスナー、篩にかけすぎ。
暗くてジメッとしていて、そのくせ延々と
ヒリヒリするような緊張感が続く…
…
— そう、僕はこの緊張感を知っている。
これは転職活動中のあの緊張、焦燥感だ。
毎日毎日履歴書を書いてはやれ明日は渋谷だ、
やれ明日は目黒だと、あちこちへ転々と
通って回る毎日。正直全く気が休まらない。
寝ても休んだ気がしない。
自律神経がイかれてる時に感じるアレである。
✴︎
この作品が生まれた背景はよく知らないが、
ネットで見たらメンバーの失恋が作品の空気に
大きく影響を与えているらしい。
なるほど、だからジメッとしていて暗いんだ。
そう言われてみれば「理解されることを
拒絶している」という冒頭に書いた部分とも
なんとなく繋がる。
さしずめ「自暴自棄」みたいなものだろうか。
倦怠、自棄、喪失、といった重い感傷が
このアルバムの暗さの正体なのかもしれない。
✴︎
それにしてもトチ狂ったアルバムだ。
この作品を出した頃はバンドもそれなりに
キャリアを積んで作品も期待されていたはず。
その矢先がこれ。
せっかくのシングル曲もむしろ悲痛な物に
聴こえてくる。やめてさしあげろ。
でもまぁ、そういう姿勢も含めて
イギリスのバンドなのかもしれない。
愛すべきひねくれ者やね、キミら。
✴︎
でもこの無遠慮に突き放すような空気感が、
不思議と逆に心地よく感じる瞬間もある。
...
例えば、辛いときにかけられる優しい言葉は
思いのほか刺さるものだ。
刺さりすぎてトドメを刺されることすらある。
そんな時本当に欲しいものってなんだろう。
似た痛みを負った者の共感じゃないか。
あるいは似た境遇の人間の独白か。
この苦しみが自分1人だけの物じゃないと
どこかで確信して救われたい、というのは
人間の性ではないだろうか。
そういった意味でいうと、この作品には
そんな「別の角度から差し込まれる優しさ」を
内包しているように感じた。
これからも落ち込んだ時や自棄になりそうな
時には聴きたいなぁ…と思うが、
これを聴く度に転職の思い出が蘇るのは
勘弁願いたいものである…。