今月頭にアルバムをつくったので、初めてセルフライナーノーツというものを書いてみたいと思います。
ぼくは文章が取り立てて得意なわけではありませんが、自分の言葉で作品を説明するのも面白いかも?と思ったので。
ミックスもめちゃくちゃで撮り溜めた音源をまとめただけだけど、こうやって形にできてよかったです。
いつかVol.2も作りたい。
音楽を1人で作り始めてからようやく6〜7年くらいでしょうか。
いろんなジャンルを作ってみたりしたけど、僕が本当にやりたい音楽のイメージはこのアルバムに曲なのかもなぁ…と1曲1曲聴き返しながら思いました。
アルバムのタイトルはAphex twinのアンビエントワークスっぽく。
もっとちゃんとしたタイトルをつけようかなぁ…とも思ったけど、結局こういうタイトルに。
ジャケットはTalking headsの「Fear of music」のような、金属板っぽい感じにしました。
タイトルと相俟って全体的に安っぽいけど、その安っぽさが返っていい感じかもしれない。
ブックオフの280円コーナーのオムニバス棚にありそう…。
1.Seraph
メモに2013年とあったので21〜22歳ぐらいの時に書いた歌詞だと思います。実体験?かは不明。覚えてないです。
曲自体はアルバムで2番目に新しい曲。
2018年12月頃に作りました。仮タイトルは「邂逅」。
作る前からSyrup16gの「She was beautiful」のような曲、アルバムの1曲目っぽい静かな曲…というモチーフがあったので、それに準じた曲になったと思います。
曲の後半のパートは「聖歌 × シューゲイザー」みたいなイメージ。最初に完成した時点ではこのノイズパートはなく、静かなまま曲が終わる予定でした。
曲名はスマッシングパンプキンズのSiamese dreamというアルバムの1曲目「Cherub rock」から引用。
天使の名前が入った曲をずっと作ってみたかったので。
2.翡翠のフィードバック
2018年の夏に作った曲。
アルバムのリードトラックにするならこの曲かな。仮タイトルは「ブルーディストーション」。
透明少女みたいな曲を作りたかったんだと思います。
ギターとボーカルに薄いショートディレイをかけるなど、それっぽくしようとしてる痕跡が。
Cメロはきのこ帝国をイメージしてる気がする。正直めちゃくちゃ大好きなバンドというわけではないけど、作ったときはそういう気分だったんだろうなぁと思います。
最終的に2種類のテイクで迷って、現在のテイクが採用されました。
不採用になった方は今のところ世界中で僕のiPhoneでしか聞けません。なので興味がある人は言ってくれれば今度聞かせてあげます。
3.Undercurrent
仮タイトルは「プールの底で待ち合わせ」。
Good dog happy menの「Music from twilight」の「貯水池の底で待ち合わせ」という歌詞の捩り。
ノアの方舟に乗れなかった2人の歌。
セカイ系っぽい歌詞を書きたくて書いたんだと記憶してます。
音はART-SCH◯◯LやC◯LD KITCHENをかなり参考にしてます。
あとはだいぶ前にボツにした「Pola X」という曲も下地にしてるかも。
Yahoo!ボックス - 大切な思い出をずっと大事にお預かりします
最初のラジオのサンプリングは渋谷ペンタのトイレで流れてたやつを録音して切り貼りしました。
ビアとかテキーラとか言ってるように聞こえるので、酒についてのラジオ?内容は不明です。
4.ねてもさめても
キリンジとかAORっぽい感じ。
アルバムの真ん中に入ってそうな曲、静かな夜みたいな曲…というイメージで作りました。
クリシェ進行を使いたかったんだなぁ…というくらいで個人的にも印象が薄いのは、多分あっさりできた曲だからだと思います。
あと覚えてることといえば、この録音テイクの後に隣人から市役所伝いに騒音の苦情が来て、ちょっとした騒ぎになりました。
5.Perfect skin
ドラムから始まる曲です。
仮タイトルは「パーフェクトスキン」。カタカナだとダサいですね。
LPならここからB面が始まるイメージ。
「Adorableのアルバムの真ん中ぐらいに入ってそうな曲」というコンセプトで作りました。なんとなくわかっていただけたら嬉しい。
ドラムのリズムパターンに引っ張られてできた曲。Adorableって結構そういう感じあると思う。
楽曲がリズム寄りというか。たぶんセッションで作ってたんだろうなぁ。
歌詞は15分くらいで書いた気がする。推敲もあまりしていないはず。とりあえずその時に思ったこと、考えたことをバーっと書いてメロディも決めずに歌録りしてしまった印象。
詳しくは忘れてしまったけど、多分休職してすぐの頃かな。「くだらねぇ」「アホ面」という歌詞、「俺」という一人称だ…普段なら絶対使わないような表現が多く、あまり自分が書いた歌詞っぽくない。
鬱憤が溜まってたのかもしれませんね。
優しいフリで何もかも全部許してたら、人生ずっとつまらなくなっちゃいますから。
6.マーマレード・サン
ボカロのPに風呂埋葬Pさんという方がいらっしゃるのですが、その方の「アプリコットサン」という曲からインスピレーションを受けて作った曲。
珍しくがっつりリードギターパートがある曲。
こういうハイフレットでトレモロ奏法みたいな事をするギター、すきです。
Cメロはボーカルが逆再生になってますが「ボクはキミの光が作る影」みたいな事を言ってます。気になる人はその部分だけ逆再生してみたらいいと思う。
これはとあるエロ漫画の最後のページにあったセリフを引用。
なんて漫画かは忘れちゃった。
思い出したら更新します。
今や世界的に有名なバンドになったマルーン5。その前身バンドであるKara's flowerの「The Never saga」という曲のメロディーをほぼ丸パクりしてます。
こういう「The UKロック」みたいなコード進行すき。
作りながら漠然と「ライドみたいにしたいな〜」と思ったけど、コーラスやギターの音…ちりばめた小細工から、そういうフィーリングを感じとってくれたら嬉しいです。
7.墓標
このアルバムで1番新しい。
唯一今年に入ってから作った曲。
仮タイトルは「My weird tombs」。
ギターとベースはループ。1回弾いたやつをコピーして流してるだけ。ドラムだけが唯一、曲に合わせてパターンを変えていく…といった感じ。
反復パターンでどこまで曲を広げられるか、という一点にのみこだわった割と実験的な曲。
ほぼループなのでバックトラックは1時間ぐらいでバーっと作りました。
イメージは完全にSyrup16g。文法が合ってるかどうかイマイチ不安な韻の踏み方とか。
「All by myself(全部オレのせい)」という歌詞は五十嵐がシロップ解散前によくメディアで発言してた言葉の引用。
歌詞は自己嫌悪みたいな曲だけど、自分の曲としては割と言いたいことを言えた方かもしれません。個人的には満足。
8.Scale Stale
水没のミニアルバム名にもなった曲。
The ピーズの「トドメを派手にくれ」やLDOAの「Angel Youth」など「アルバムのタイトルになった曲がそのアルバムには収録されていない」というパターンが大好きです。
なのでこういう感じで発表しました。
曲自体は古い。
PCが壊れてスマホに制作環境を移したのが一昨年の夏。
そのとき1番最初に作ったので、Ice Cruckの時期には完成していたはず。
気持ちちょっと声が若い気がする。
途中で速くなるのはチューインガム・ウィークエンドの「Wendy」という曲から着想を得ました。
壁際の花、wallflower。アメリカの学生社会でカースト下位の目立たない生徒や落ちこぼれをそう呼ぶらしい。
Scale Staleという曲名、
Scaleには「物差し」や「基準」といった意味と「鱗」という意味があり、
同じくStaleにも「汚い」「腐った」という意味と「ありふれた」「陳腐な」という意味があります。
つまり「ありふれた物差し(突出したもののない凡庸な自分自身の価値観)」という自虐と、歌詞内に出てくる「汚れた鱗は置いてゆく(古い自分自身を捨て、新しい自分へ生まれ変わりたい)」という願望を含んだダブルミーニングなタイトルになってます。
「壁際の花に愛を、惜しみない愛を」という歌詞がメロディーと一緒に降ってきて、すごくびっくりしました。
9.Amazing day
アルバムでおそらく1番古い曲。
手元の録音音源には2012年とあったので、もう6〜7年前ですか。Concent holeという名前で弾き語りしてた時期によく歌ってました。
正直、今回この曲を出したくてアルバムを作ったような感じです。だからアルバムの最後に入れました。
もちろん他の曲にもたくさん思い入れはありますが、自分の中ではちょっとした特別な曲です。
現在でも7分ちょっとあるけど、元々はCメロとかバカ長い間奏があってトータル10分近くある曲だった。
バンプのEver lasting lieみたいな感じです。
歌詞は書いた当時、20歳の自分の人生観や思想、哲学を詰めこんだ感じでした。失恋や友人との軋轢、大学を中退しようと考えていたことだったり、いろいろ。今から考えるとびっくりするほど稚拙な悩みだけど、20歳の僕にとってこれらの悩みそれはそれは大きなものだったのです。
そして約6年、推敲に推敲を重ねてこの歌詞になりました。
「ビールを飲んで夢を見ようぜ、今日は」という歌詞はまさに自分が書いた歌詞だな〜と思います。
この曲だけ、今回Twitterの友人である鼻炎さんに声をかけていただいてギター、ベース、ドラムも全部自分で弾いて録音してます。
自分には分不相応なレベルのすごい録音スタジオをお借りして、めちゃくちゃ萎縮したのを覚えています…。
ミックスの際にSyrup16gの「Hell see」みたいな、モコモコしたローファイな感じで…とお願いしました。見事にイメージ通りの音質になり、大変感激です。
この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
というわけで以上、アルバムから9曲の解説でした。
(ボーナストラックが1曲ありますが、アレは完全にオマケです。
年上のミステリアスな先輩、僕も大好きです。スカートの「月光密造の夜」をイメージしたらあんな感じになりました。)